行政書士業務の誤解が多いので整理をしてみる。
行政書士法に定める行政書士制度の目的は、1、行政に関する手続の円滑な実施に寄与し 2、国民の利便に資する ことである。(法一条)

この目的に対応して行政書士業務が定められている。
1、書類作成業務(法一条の二)
イ、官公署に提出する書類の作成
ロ、権利義務に関する書類の作成
ハ、事実証明に関する書類の作成
2、官民代理等
イ、官公署に対する提出手続代理及び聴聞代理(法一条の三1項一号)
ロ、行政不服申立代理及び書類作成(法一条の三1項二号)
3、民民代理等
イ、契約代理及び契約書作成(法一条の三1項三号)
4、相談(法一条の三1項四号)
(以上であるが他の法律により禁止されている業務を除く。)

街の法律家と呼ばれている為に弁護士と同じような紛争に関与できると誤解をしている新人行政書士が多いことは残念である。

行政書士と弁護士とは全く異なる相反する法律家である。
民事では!
行政書士は、予防法務であり紛争には関与しない。
弁護士は、予防法務を取り扱うがそれは従たる業務で紛争の解決が主力業務である。
刑事では!
行政書士は、刑事事件においては告訴状の作成と提出代理である。
弁護士は、被告人の弁護である。
手続きでは!
手続業務においては行政書士は行政庁が対象である。
弁護士は、裁判所が対象である。

このように説明すると、弁護士も行政庁を対象としていると異議を述べる者が多いであろうが、本来の資格制度の目的の観点から、どちらに主力を置いているかとの判断による説明である。これもできるあれもできると主張することは何もできないことを意味する。行政書士は行政庁を対象とし、弁護士を裁判所を対象とする主力業務資格制度であることは間違いがない。
民事における予防法務も弁護士は主力であると主張する者も多いであろうが、予防法務ばかりに力を入れる弁護士が増加して裁判のできない弁護士が増えてしまったら制度が崩壊するであろう。予防法務と紛争処理は相いれない法律事務である。予防法務は想像力が必要であり法律知識のみではどうすることもできない。紛争処理は駆け引きと弁論能力、説得力である。

弁護士の真似事をする行政書士が多いことは残念であるが若い行政書士に、行政書士道の本質を理解して頂き、行政書士固有の世界を発展させてほしいと願っている。

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行政書士法抜粋

(目的)
第一条  この法律は、行政書士の制度を定め、その業務の適正を図ることにより、行政に関する手続の円滑な実施に寄与し、あわせて、国民の利便に資することを目的とする。
(業務)
第一条の二  行政書士は、他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類(その作成に代えて電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)を作成する場合における当該電磁的記録を含む。以下この条及び次条において同じ。)その他権利義務又は事実証明に関する書類(実地調査に基づく図面類を含む。)を作成することを業とする。
2  行政書士は、前項の書類の作成であつても、その業務を行うことが他の法律において制限されているものについては、業務を行うことができない。
第一条の三  行政書士は、前条に規定する業務のほか、他人の依頼を受け報酬を得て、次に掲げる事務を業とすることができる。ただし、他の法律においてその業務を行うことが制限されている事項については、この限りでない。
一  前条の規定により行政書士が作成することができる官公署に提出する書類を官公署に提出する手続及び当該官公署に提出する書類に係る許認可等(行政手続法 (平成五年法律第八十八号)第二条第三号 に規定する許認可等及び当該書類の受理をいう。次号において同じ。)に関して行われる聴聞又は弁明の機会の付与の手続その他の意見陳述のための手続において当該官公署に対してする行為(弁護士法 (昭和二十四年法律第二百五号)第七十二条 に規定する法律事件に関する法律事務に該当するものを除く。)について代理すること。
二  前条の規定により行政書士が作成した官公署に提出する書類に係る許認可等に関する審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立ての手続について代理し、及びその手続について官公署に提出する書類を作成すること。
三  前条の規定により行政書士が作成することができる契約その他に関する書類を代理人として作成すること。
四  前条の規定により行政書士が作成することができる書類の作成について相談に応ずること。
2  前項第二号に掲げる業務は、当該業務について日本行政書士会連合会がその会則で定めるところにより実施する研修の課程を修了した行政書士(以下「特定行政書士」という。)に限り、行うことができる。

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